第9回日本ラブストーリー大賞 1次選考あと一歩の作品(16)

『I am Mrs.Anderson』/松田 幸緒 

 あらすじ&コメント

外国人の夫の海外赴任に付いてきた日本人の聡子は、年下の運転手・ラヴィに淡い想いを寄せる。ホテルの一室で彼に英語を教えるプラトニックなひとときが何よりの幸せだったが、あるとき彼が不当な理由で解雇されてしまう――。

異国で現地人と恋に落ちる物語といえば『ラマン』や、岩井志麻子『チャイコイ』などがあるが、そういった作品で顕著だった官能的な描写には走らず、プラトニックな関係を貫いた点はオリジナリティが高く評価できる。が、それゆえ、恋愛小説の醍醐味である「ハラハラドキドキ」や「キュンとした切なさ」が感じられず、盛り上がりに欠けたのが残念。プラトニックでもいいけれど、そのあたりを意識して書いてもらいたかった。

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